茶餐廳バカ一代

熱奶茶と菠蘿油から始まる、めくるめく茶餐廳の世界と旅の話。

ネオンの記憶、空港の記憶 ― 九龍城・順興茶餐廳

f:id:chgt:20191110195656j:image

深水埗と並んで、九龍城は香港の中でも好きな場所のひとつだ。

少しずつ再開発は進んでいっているし、地下鉄の駅もできる(欠陥工事で2年延期になったけど)とはいえ、唐樓が多く、タイ料理や潮州料理をはじめ飲食店が選り取り見取りの楽しい街。

 

そんな九龍城のもう一つの顔は、空港のすぐ脇にあった街だということ。

私が香港に初めて来たのは2008年なので、啟德機場は見たことも、使ったこともないけれど、下町に突然現れる旧エアポートホテル(富豪東方酒店)やトマソン高架橋、そして深水埗以上に高さの低い街並みと、空港の痕跡を目の当たりにするにつけ啟德機場への想いを募らせている。


f:id:chgt:20191110195647j:image

 

ここの熱奶茶は私がよく行く茶餐廳の中でもかなり濃い、渋味の強い部類。

街市の熟食中心や大排檔だとこのくらいの濃さは珍しくないけれど、「茶餐廳」として店を構えている中ではここと深水埗・維記が二大巨頭かもしれない。

 

f:id:chgt:20191110195651j:image

 

二年前くらいに店内は改装されて、メニュー変更や値上がりなんかもあったけど、いまでも以前と変わらない時計が飾られているのは茶餐廳バカとしては評価いたしたい店です。f:id:chgt:20191110195702j:image

 

順興茶餐廳のもうひとつの良さは、衙前圍道に輝くネオンサイン。

ソーサーとカップ、そして「始於1984」の文字が踊るあたたかな色のネオンは、変わりゆく九龍城にあってそこに在り続ける、そっと照らし続けてくれているかけがえのない光。

道路へそこまで張り出していない(規制に違反してなさそう)ので、招牌冬の時代をどうにか乗り越えて九龍城を照らし続けてもらいたいな。
f:id:chgt:20191110195708j:image

 

goo.gl